2006/08/30

『日々の泡』 ボリス・ヴィアン

甘い、甘ーいロマンチックなハナシかと思ってた。
ら、全然違った。
主人公と恋人との会話は優しい甘さに満ちてるんだけど。
口元が緩んじゃうような甘さに。
フランス?あぁ、そうね、フランスね、みたいな。

あたしはあんまり本を読む方ではないし、
沢山本を読んできたワケでもナイからこう言うのもなんだけど、
こういう本は初めて読んだかもしれない。
世界が現実離れしてるんだけど、そこにメルヘン特有のフワフワ感がない。
でも全く別の世界をベースに創り上げてるワケでもない。
世界は一緒。でも、特有の世界観が挿入される。それも、なめらかに。
その特有な世界観も、空想という言葉がおよそ似つかわしくない、
何とも現実味を帯びた、しかし明らかに現実離れした、まさに「そういう」世界。
…って、なんであたしはこんな偉そうな口調なの?

文庫本の後ろに「愛するシックを魅了し狂わせる思想家の殺害をもくろむ情熱の女アリーズ」って書いてあるのに、
それ、ホントに最後の最後らへんじゃん。
ストーリーで読んでたワケじゃないからイイんだけど。

最近気付いたんだけど、あたしにとってストーリーってさほど重要じゃないみたい。
知りたいのは、世界観。描写、間。
だから映画を観る前に展開を知っててもあまり気にならない。
「言っちゃってイイの?」ってよく言われるけど、殆ど構わない。
ストーリーで引っ張る物語にあまり興味がないのかもしれない。
“ただそれだけのこと”を、丁寧に独特な表現で描いてるものとか
あたしの脳みそでは決して描き出せない世界とか
そういうのがイイ。
物語は、その背後で静かに流れて行けばいい。

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